葬儀は多くの人にとって非日常的な経験ではないでしょうか。
そのため、「何をどうしていいのか分からない」という人は非常に多いものです。
そこでここでは、
♦そもそも葬儀とは何か
♦葬儀の種類
♦葬儀の流れ
♦喪主のすべきことと参列者のすべきこと
について解説していきます。
「葬儀」「葬式」の区別は非常に難しいもので、専門家ごとによって解釈が異なります。たとえば、「葬儀」という言葉が葬送儀礼全般を指すこともありますし、「通夜の翌日に行われる儀式のなかでも、宗教的な性質を伴うもの(宗教的な性質を伴わないものは『告別式』)」とする解釈もあります。また、葬式と葬儀はまったく同じものであるとする説もあります。
同じ葬儀社のなかであってさえ、混同されることも多いものですから、これらのどの説が正しく、どの説が間違っているかを断じることはできません。
ただここでは、「葬儀=葬送儀礼」としてお話していきます。
葬儀の種類は、「呼ぶ人によって分ける分け方」「かかる時間によって分ける分け方」「行う場所によって分ける分け方」があります。
「どこまでの範囲の人を呼ぶか」によって分けるやり方です。一般的に、「葬儀の種類」というとこれを指すことが多いかと思われます。下記ではいくつかの葬儀の種類を紹介していますが、そのなかでも、多くのご家族にとっての現実的な選択肢となりうるのが、「一般葬」「家族葬」「直葬」です。
♦社葬……会社において特段の功績を残したとされる人に対して行われる葬儀の形式をいいます。会社側が費用を負担するのが大きな特徴であり、非常に大規模なものになります。
♦一般葬……一般的な葬儀の形式です。弔問客を広く受け入れて行うもので、単純に「葬儀」とするときはこの一般葬を想定する場合が多いといえます。
♦家族葬……ご遺族が声を掛けた人だけで行う葬儀で、一般弔問客に向けての訃報は出しません。特例を除き、一般葬よりも小規模な葬儀となります。
♦直葬……「火葬式」とも呼ばれます。もっとも小さな葬儀の形態で、火葬場でのみのお別れとなります。家族葬の形態のうちのひとつですが、家族葬よりもさらに小規模になりやすいかたちといえます。
♦密葬……芸能人や著名人が亡くなったときに行われることが多い形式です。まずはご家族だけでお別れをして、その後に「本葬」として弔問客を受け入れて行う葬儀の2段階形式で執り行われることが多いものです。
♦【番外編】警察葬……殉職をした警察官などに対して行われる葬儀で、警察庁の幹部が出席することが多いものです。
「どれくらいの時間をかけて行われるか」によって葬儀を分けることもできます。
♦二日葬……下記で紹介する「一日葬」「火葬式」を希望しない限り、このかたちになります。通夜と、翌日の告別式の2日間で行う葬儀のことです。
♦一日葬……1日で終わる葬儀のことです。この場合、通夜はしません。
♦直葬……上でも述べたように、火葬場でお別れをするだけの葬儀の形態です。一日葬のなかのひとつではありますが、一日葬よりもさらにかかる時間は短くなります。
なお日本の法律では、「死後24時間以内に火葬してはならない」とされているため、直葬を希望しても荼毘にふすまでには24時間以上の経過を必要とします。
「どこで葬儀を行うか」によっても、葬儀を分けることができます。
♦葬儀ホールでの葬儀……現在一般的なのがこのかたちです。なお葬儀ホールのなかには、葬儀だけのために作られたところもあれば、冠婚葬祭のほかのイベントのときにも使えるものもあります。
♦火葬場での葬儀……火葬場のなかには、葬儀用のホールを備えたものもあります。ここで葬儀を行うことも可能です。なおこれは特に、「火葬場併設斎場」などと呼ばれることがあります。
♦自宅葬……自宅で葬儀を行う方法です。現在は下火となっています。
♦宗教施設で行う葬儀……「寺院葬儀」「教会式」とも呼ばれます。寺院や教会で行う葬儀ですが、神道の場合は神社で葬儀を行うことはありません。
ここからは、葬儀の流れについて紹介していきます。なお、ここで取り上げるのは上で述べた「一般葬で、二日葬」の場合です。
【8/21 逝去】
【8/22 通夜】
1.通夜の受付開始
だいたい通夜の1時間半~2時間程度前から受付が開始されます。
2.通夜式
それぞれの宗教に基づいた通夜式が行われます
3.通夜振る舞い
通夜式が終わったら親族控え室などに移動し、飲食を行います。
【8/23 告別式】
1.受付開始
通夜のときと同じように受付が開始されます。
2.告別式
宗教的な儀式や、お別れの儀式を行います。
3.出棺
出棺。火葬場に行く人は一緒にマイクロバスなどで移動し、一般弔問客はお見送りをします。
4.火葬
火葬炉の前で肉体をもった故人様と最後のお別れをします。その後、火葬を行います。
5.収骨
ご遺骨を骨壺へ収めます。
6.宗教的な儀式
繰り上げ初七日法要などの宗教的な儀式を行います。
7.精進落とし
宗教的な儀式のあと会食を行います。
その後、解散となります。
喪主が行うべきことは非常に多くあります。
たとえば
♦葬儀会社の手配
♦葬儀の形態の決定
♦供物や供花のとりまとめ
♦遺影の選定
♦宗教者の接待
♦挨拶(最低でも3回)
♦会食の席次順の決定
♦引き出物の手配
♦金銭面の対応
などが挙げられます。これらを1人でやろうとすると非常に大変なので、適宜周りの人の力を借りるとよいでしょう。
喪主が行うべきことに関しましてはこちらもご覧下さい。
おくりびとのコラム
対して参列者のすべきことは、基本的には「不祝儀を受付で出して、葬儀に参列して、出棺を見送ること」だけです。
もし、受付をお願いされたのであれば引き受けるべきでしょう。また、ご家族に対して簡単な挨拶などを行うこともあります。その際には、「手助けできることがあったらなんでも言ってね」などのように伝えると親切でしょう。
葬儀は非常に複雑なものであり、またとまどうことも多いものです。
しかし事前に「どんな種類があるか」「どんなことをしなければならないか」を把握しておけば、そのとまどいを少なくすることはできるでしょう。
不明点があれば、なんでも葬儀社スタッフにお聞きください。