お正月料理の定番といえば、お雑煮、お餅、そして「おせち」ですね。 ご家庭によっては毎年恒例となっているおせち料理ですが、一つひとつの食材に深い意味が込められていることをご存じでしょうか。
今回は、知っているようで意外と知らない「おせち」の由来と、そこに込められた家族への想いについて解説していきます。
なぜ「おせち」を食べるのか
おせちは漢字で「御節」と書きます。もともとは「節供（せっく）」といわれる季節の節目に、神様へお供えした料理が由来です。
一年の始まりであるお正月に、神様にお供えしたものを分かち合って食べることで、その年の家族の健康や幸せを願うという意味があります。また、重箱に詰めるのには「めでたさを重ねる」という願いが込められており、見た目にも華やかで縁起の良いものとされています。
具材に込められた「家族への願い」
おせち料理の具材には、語呂合わせや形に見立てた様々な願いが込められています。代表的なものをいくつかご紹介します。
・黒豆： 「まめに（勤勉に・元気に）暮らせるように」という無病息災の願い。
・数の子： 卵の数が多いことから「子孫繁栄」の願い。
・田作り： 片口イワシを田の肥料にしていたことから「五穀豊穣」を祈願。
・海老： 腰が曲がるまで長生きできるように、という「不老長寿」の象徴。
・紅白かまぼこ： 形が初日の出に似ており、赤は魔除け、白は清浄を意味。
・伊達巻： 形が巻物に似ていることから「学業成就・教養の向上」を願って。
・栗きんとん： 黄金色を金塊に見立て「金運上昇・商売繁盛」を祈願。
・蓮根： 穴から「先が見通せるように」という願い。
・里芋： 親芋に多くの子芋がつくことから「子宝・子孫繁栄」の願い。
・紅白なます： お祝いの「水引」を象徴し、一家の平和と安寧を祈願。
葬儀社が教える「喪中のおせち」はどうすればいい？
葬儀社としてよくご質問をいただくのが、「喪中におせちを食べても良いのか」という点です。
古くからの習わしでは、お祝い事であるおせちは控えるべきとされてきました。しかし現代では、お祝いの食材（紅白かまぼこや海老など）を避け、精進料理に近い形で「家族で静かに新年を過ごすための食事」としておせちを用意される方も増えています。
大切なのは形式よりも、故人を偲びつつ、残されたご家族が穏やかに新年を迎えることではないでしょうか。
おわりに
おせち料理は、いわば「家族を想う心のカタチ」です。一つひとつの意味を思い浮かべながらいただくことで、より一層味わい深いものになるかもしれません。
時代とともにおせちの形は少しずつ変わるかもしれませんが、「みんなが幸せでありますように」という優しい願いは、今も昔も変わりません。
新しい一年が、皆様にとって笑顔の多い、穏やかな毎日になりますように。
