葬儀について調べているときに、「六曜」という単語を目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
時に葬儀に関わってくるこの「六曜」と、葬儀の日程の決め方について解説していきます。
「六曜」とは、暦の考え方のうちのひとつです。
中国で生まれたとされている考え方ではありますが、いつの時代に成立したかは正確には判明していません。詩の文化が花開いた唐の時代にできたものだとする説もあれば、現在でも多くの作品の題材となっている三国志の時代に成立したものだとする説もあります。
そしてこの六曜の考え方は、やがて日本に伝わってきました。鎌倉時代~室町時代に入ってきたとされていて、江戸時代には広く認識されるようになりました。
現在のスマートフォンのカレンダーなどでは、この六曜が示されているものはほとんどありません。ただカレンダーなどのなかには、この六曜が記されたものもあります。
六曜は、6つの日によって成り立っており、それが順番にやってきます。
♦先勝……「さきがち」「せんしょう」と読みます。午前中の運気が良く、午後からは悪いとされる日です。
♦友引……「ともびき」と読みます。勝負事の決着がつかない日だとされていて、11~13時は運気が悪い日だとされています。
♦先負……「さきまけ」「せんぶ」と読みます。文字からも分かる通り、先勝と対になっているものです。ただ、午前中は運気が悪いのはもちろん、午後からも慎重に過ごさなければならないとされているため、先勝の「午前は良く、午後は悪い」とは正しい意味では対比にはなっていません。
♦仏滅……「ぶつめつ」と読みます。上手くいかない日に「今日は仏滅だ!」などのように表現する人もいるほどよく知られた言葉で、どの時間帯でも運気が悪いことを示す日です。
なおこの日は、結婚式などの慶事は避けられる傾向にあります。
♦大安……「たいあん」と読みます。慶事にぴったりの日であり、すべての物事がうまくいく日であると考えられています。六曜の文化がそれほど重要視されなくなった現在でも、この日に結婚式をと考えるご家庭は少なくありません。
♦赤口……「しゃっく」「しゃっこう」と読みます。友引とは逆に11時~13時が良く、それ以外は運気が悪い日だといわれています。
六曜には「仏滅」という言葉が含まれていることから、いかにも仏教と深い関わりがある概念のように思われます。
しかし実際には、六曜と仏教はまったく何の関わりもありません。そのため、葬儀の日程を決める際には、六曜を考慮する必要はまったくありません。
六曜は、仏教とも、またほかの宗教ともまったく関係のない概念であるので、「六曜のこの日が葬儀に向いている」「六曜のこの日は葬儀に向いていない」という指針もありません。
ただ、「友引」はその漢字から「友を引いていく=生きている人を黄泉に連れて行ってしまう」というイメージを持つ人もいます。そのため、もし気になるのであれば、この日を避けるようにするとよいでしょう。また、友引人形と呼ばれる人形を一緒に棺の中に入れるのもよいものです。友引人形は友の代わりをしてくれるものであると考えられており、「生きている人ではなく、この人形を連れて行ってください」という願いがこもっているものです。
友引人形の値段は3千円程度で、葬儀会社に依頼すれば用意してもらえます(※当社にもご相談ください)。
なお、地域によっては「友引の日は火葬場を閉める」としているところもあります。神奈川県の場合は、「火葬場は複数あるが、友引の日は持ち回りで閉めている。ただし、必ずどこかの火葬場は開いている状態にしている」としています。
このため、火葬の日が友引にかかるようならば、一度スケジュールを確認しておくとよいでしょう。葬儀会社は当然火葬場の休業日も把握していますから、尋ねてみてください。
上記を踏まえたうえで、葬儀日程の決め方を考えていきましょう。
1.来てほしい人に参加してもらえる日を選ぶ
「故人が孫と会いたがっていた」などのような場合は、故人様が希望していた人が確実に来れる日程にしなければなりません。冠婚葬祭のなかでも特に葬儀は優先順位が高いものではありますが、海外などに住んでいる場合は、どうしても調整が必要になります。
2.ご僧侶様と火葬場のスケジュールを確認する
ご僧侶様と火葬場のスケジュールも確認します。お盆やお彼岸の時期はご僧侶様も多忙で、希望した日が空いていないこともあります。ただし菩提寺に連絡したうえで、「その日は空きがない」ということであれば、ご僧侶様の方で代わりの人を提案してくれることもあります。
上でも述べた通り、火葬場のなかには友引は開いていないというところもあります。また火葬場の休みはそれぞれの火葬場で違いますが、1月1日は基本的にはどこもお休みです。
ちなみに都心部の火葬場は非常に混みあっており、空きが確保できるまで3日以上かかることもあります。
3.ホールの空き状況を確認する
現在の葬儀は、そのほぼすべてが葬祭ホールを使って行われています。そのため、葬祭ホールの空き状況も確認しておきたいものです。
なお葬祭ホールは、「1日に1組限定」としているところもある一方で、「1階と2階にそれぞれホールがあり、同じ日・同じ時間帯であっても葬儀が行える」「自社のA葬儀ホールの予約が埋まっていても、近場のB葬儀ホールに案内できる」としている葬儀会社・葬儀ホールもよくあります。
優先順位は、数字が若いものほど高くなります。この1~3の条件をすべて満たす選択肢が複数ある場合は、六曜なども考慮に入れてもいいかもしれません。
六曜の考え方は、仏教とはまったく関係のないものです。
そのため日程を決める際には、「来てほしい人が来れる日程か」「ご僧侶様や火葬場、葬儀ホールに空きはあるか」を優先したうえで、余裕があるようならば六曜を気にしてもいいかもしれません。