葬儀(告別式)の前に執り行われる「通夜式」。
この通夜式に参列してくれた方に、感謝の意を込めて御礼として返礼品や礼状を渡します。これらは一般的に「会葬返礼品(会葬御礼)」と呼ばれます。
「会葬御礼」・・・通夜式や葬儀・告別式に参列してくださった方へのお礼の品。お清めの塩とともにお礼状、返礼品を準備します。
葬儀の準備に追われる中で、返礼品を何にしたらいいのか、礼状はどうしたらいいのか、悩む方もいらっしゃるでしょう。
今回は、通夜式での御礼と、礼状についてお話ししていきたいと思います。
一般的に通夜式へ参列してくださった方々への感謝の気持ちとしてお渡しするものは以下となります。
◆会葬返礼品
◆お礼状
◆お清めのお塩
通夜式への参列、葬儀への参列と、厳密に言えば以下のような違いがありますが、近年通夜式にのみ参列される方も多く、今では焼香の後に出口で返礼品・礼状・お清めの塩がセットになったものを渡しすることが一般的になっています。
*通夜式へ参列された方・・・・通夜式礼状・通夜返礼品
*葬儀・告別式へ参列された方・・・会葬礼状・会葬返礼品
♦︎通夜式と葬儀・告別式の区別をなくし参列してくださった方々へのお礼を「会葬御礼」と呼ぶことが多くなりました。
会葬返礼品、具体的にどのようなものを選べば良いのでしょうか。
ご自分が通夜式に参列した際、お茶を頂いた、送られてきたといった経験はありませんか。
基本的には「食べ物」や「消耗品」が適しているとされています。これらは「消えもの」と呼ばれ、「悲しみが消える」という意味が込められています。
また、公共機関を利用して来ている方、遠方から参列している方もいるので、返礼品は「軽くてや持ち帰りやすいもの」などの配慮も必要となります。
重たいものや日持ちしないもの、高額なものはあまり適していません。金額のわかる商品券なども避けた方が無難です。
日持ちがよく、軽くて持ち帰りやすい一品です。
精進料理にも使われる食材なので、葬儀の返礼品の定番になっているようです。
海苔に近いものでは、お茶漬けなどもあります。
これも葬儀の返礼品の定番の1つです。日常で使用できるので、いくつあっても困らない、と言った点でも選ばれる理由の一つかもしれません。
昔は死装束のさらしが返礼品の定番でした。その名残で、タオルやハンカチなどが定番となっているのでしょう。
飲料系も「消えもの」の1つですので、返礼品に適しています。
持ち帰りやすく、日持ちもします。
故人様が生前好きだったものがあれば、気に入っていた銘柄にするのも良いかもしれません。
お菓子はさまざまな価格帯で用意することができますし、種類も豊富です。
小分けにされているものも多いので、食べやすいのも魅力の1つです。
こちらも、故人様が好きだったお菓子があればそちらを選ぶのもいいでしょう。
実用性のある「消えもの」なので、これも返礼品として人気があります。
洗濯用、食器用、手洗い用と種類もさまざまで、どれもよく使われるものです。
ただ、他のものに比べると重さがありますので、持ち帰りの面を考えて選びましょう。
通夜式の御礼には特に決まりはありませんので、お渡しする人への感謝を込めて選ぶようにしましょう。
家族葬は親しい方々、ごく限られた方々で行われますが礼儀として返礼品の準備はしておくと良いでしょう。
◆おくりびとのお葬式ではオプションとして様々な返礼品をご予算に合わせて提案させていただいております。お打ち合わせの際にお尋ねください。
返礼品の相場の多くは500円〜1,000円のようです。
お忙しい中、弔問に来てくださった方へのお礼の気持ちとなります。葬儀の規模によっては2,000円程度のものをお返しする事もあるようですが、受け取る側が恐縮しない程度の金額と考えておきましょう。
地域の風習などがある場合もございます。親族や詳しい方などに相談したり、葬儀担当者へ近年の状況などを聞きながら決めると良いでしょう。
以前は後日郵送することが常でしたが、最近ではお焼香の後、手渡しをするのが一般的となってきています。
受付の際にお渡しする事もあります。
「香典返し」と同じと考えている方も少なくはないでしょう。
お渡しする相手、相場が異なりますので違いを知っておくことが必要です。
「会葬御礼」・・・・通夜式や葬儀告別式に参列してくださった方々へのお礼(基本的には参列者全員に渡す)。
「香典返し」・・・・香典を包んでくださった方へのお礼(いただいた香典の額の2分の1から3分の1程度の品)。
後日郵送する事もあります。
返礼品だけを渡す、送るのは少し寂しいですよね。一言、お礼状を添えて感謝の気持ちをお伝えすることをお勧めします。
スタイルは様々で
*はがき
*封書
*カード
*メール(略式)
などを返礼品とともにお渡しします。
◆お礼の気持ちを表すものです。書き方に決まりはありませんがルールはあります。
ルールを守り感謝の気持ちを伝えると良いでしょう。
*お礼状を書く際の全般的なルールとなります*
♦︎お礼状には季節の挨拶は使用しない
ビジネスの場面ではよく使用する時候の挨拶ですが、葬儀では不要です。
拝啓は敬具といった頭語も書かない場合があります。
♦︎最初の文字は下げない
文章を書く時、冒頭の文字を一字下げて書き出しますが、この場合は下げずに書き出します。(改行の際も同様)
♦︎句読点を使用しない
お祝い事の際には「終わりがないように」という意味を込めて句読点を使用しません。
葬儀においても「とどこおりなく」終えられるようにという意味を込めて、句読点を使用しないのが一般的です。
*句読点を使う場所は1文字分のスペースを開けることとなります。
故人様名前を必ず入れてください。
「亡き〇〇」・「亡〇〇」・「故 〇〇」などと書き表します。
故人様の名前を冒頭に書くことは基本となります。
忙しい中、時間を作って弔問にきてくださったことへの感謝の気持ちを言葉にしましょう。
書面での挨拶となる無礼を詫びる文章も最後に加えます。
最後に、喪主の名前を書きます。
一般的には喪主の名前となりますが、隣に「親族一同」など連記する事もあります。
上記①〜④以外にも
・薄墨で書く
・忌み言葉は使わない
などがあげられます。
*忌み言葉・・・特別なシーン(冠婚葬祭など)において不幸や不吉な事柄を思わせる言葉(追って・重ね重ね・ご生在中など)
専門業者・葬儀業者に依頼することが多いかと思いますが、ご自分(手書き・パソコン)で準備する際はポイントを押さえマナーを守るよう心がけましょう。
ここからは、書き方ルールにに基づきお礼状の例文を見ていきましょう。
♦︎基本的には縦書きとなる。(近年では横書きも)
♦︎接頭語「ご」「お」は漢字にすることが多い。 「御多忙中」「御挨拶」「御礼」など
上記も踏まえて確認していきましょう。
故 父〇〇 〇〇 儀 通夜式 葬儀式の際は御多忙中のところ遠路より御会葬頂き かつ御厚志を賜りまして誠に有り難く厚く御礼申し上げます
早速拝趨の上御礼申し上ぐべきところ略儀乍ら書中を以って御挨拶申し上げます
令和〇〇年 〇月〇〇日(通夜)
〇月〇〇日(葬儀)
〇〇〇〇斎場にて
(住所)東京都中央区入船〇丁目〇番〇号
喪主 〇〇 〇〇
外 親戚一同
支えていただいた皆様方に厚く御礼申し上げます
本日はお見送りをいただき誠にありがとうございました
故 〇〇儀 葬儀に際しましては御多忙中にもかかわらず 遠路わざわざご会葬頂き
ご丁重なるご厚志を賜り 厚くお礼申し上げます
おかげさまで葬儀を滞りなく済ませることができました
生前のご厚情には親族一同 心より感謝申し上げます
早速参上いたしましてお礼申し上げます筈のところ何分にも取り込み中でございますので略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます
令和 年 月 日
(住所)東京都中央区入船〇丁目〇番〇号
喪主 〇〇 〇〇
外 親戚一同
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◆礼状は手書きではなく、はがきに印刷したものが主流になります。
葬儀社の方でテンプレートを用意してくれていますので、参考にしてみてください。
また、親しかった方やお世話になった方、弔電を頂いた方には、後日直接礼状を送るのがいいでしょう。その際は葬儀が終わってすぐ送るのではなく、四十九日を過ぎてから送ります。はがきではなく、手書きで手紙にしたためて感謝を伝えましょう。
忙しい中、時間を作り弔問に来てくださった方にメールでのお礼となるのは失礼だと考える人も少なくありません。
あくまでも略式と考え、親しい間柄など相手を考慮して送るようにしましょう。
先にあげたルールを確認しマナーを守って送るよう注意してください。
メールでお礼を告げる無礼を伝え、「メールにて失礼させていただきます」と添えることをお勧めします。
〇× 〇×△ 様
このたびは忙しい中を〇〇の葬儀に参列してくれて、本当にありがとう。
急遽、喪主を務めることになり、ゆっくりお礼も言えなかったのでメールしました。
ある程度心の準備ができていると思っていたけど、やはり心に穴が開いたような喪失感を感じる日々です。
〇〇は…(思い出話や、病気になった経緯、最期の様子など)。
通夜の準備から今日まで慌ただしかったけど、ようやく落ち着いてきました。
本当にありがとうございました。
取り急ぎ、お礼だけ言いたくてメールしました。
また連絡します。
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親しい方に送るものなので、硬い文章にする必要はありません。
思い出話を交えながら、近況報告と共に参列してくれたことへの感謝を伝えましょう。
メールはあくまで親しい間柄の場合のみで、それ以外には適していませんのでその点だけ気を付けてください。
◆メールでの礼状が送られてきたら・・・◆
基本的には返信は不要と考えてください。
書状の場合と同様と考えるとわかりやすいかもしれません。
一般的な定型文の会葬礼状のほか故人様の人柄やエピーソードなどを綴った文章のお礼状もあります。
カタチにとらわれず、自分の言葉で感謝の気持ちをお伝えしたい方もいらっしゃるかと思います。
気持ちを文章に表すことで気持ちが落ち着いた、といった声もお聞きします。
オリジナルの礼状であっても書き方ルールはあります。
定型の礼状との相違点を見ていきましょう。
♦︎基本的には縦書きとなる。
♦︎句読点は使用してもよい。
♦︎接頭語はひらがなで「お礼」「ご挨拶」など。
♦︎薄墨で書く。
それでは、オリジナル礼状を見ていきましょう。
◆多くの会葬礼状はテンプレートがあり、打ち合わせ時に葬儀社へ注文することができます。
おくりびとのお葬式でも、会葬礼状のほかオリジナル礼状も承っております。喪主様とご相談しながら感謝の気持ちをお礼状に込めるお手伝いをいたします。
「繋いだ手のぬくもりを これからもずっと忘れません」
厳格な父でしたが、いつの時も真正面から私たちと向き合ってくれたように思います。厳しい一面をのぞかせていたのは誰よりも子供のことを考えていたからこそ。けれども私は人生の岐路に立たされた時、父の望みどおりには歩まず、自分の進みたい道を選択しました。はじめのうちは認めてもらえなかったものの「よい仕事を選んだな」と父に声をかけてもらい嬉しかったことを今でも覚えています。
印象深いのは、息を引き取る少し前に父の人差し指を握ったこと。小さい頃、父の大きな手を繋いで歩いた姿を思い出しつつあの頃と変わらない手の温もりを感じ胸に熱いものが込み上げました。
別れは惜しまれますが、育ててもらったことに感謝し、「ありがとう」の言葉と共に背中を見送ります。
父〇〇〇〇は、〇〇年〇月〇日、〇〇歳にて生涯をとじました。皆様のご厚情を賜り、実りある人生を送らせていただいた父に代わり、深く感謝を申し上げます。本日のご会葬誠に有り難うございました。
略儀ながら書状を持ってお礼申し上げます。
令和〇〇年 〇月〇〇日(通夜)
〇月〇〇日(葬儀)
〇〇〇〇斎場にて
(住所)東京都中央区入船〇丁目〇番〇号
喪主 〇〇 〇〇
外 親戚一同
会葬礼状・・・通夜式、葬儀・告別式に参列して下さった方々へ感謝の気持ちを伝える礼状
突然の訃報に対し忙しい中時間を作り、最期のお別れに来てくださった方々へ。
・・・感謝の気持ち・・・
これこそが伝えるべきことではないでしょうか。
通夜式の場では、直接感謝を伝えられる場面は非常に少ないでしょう。一言、二言、言葉を交わせればいいですが、焼香だけして帰られてしまう方も中にはいらっしゃいます。
そういった方にも、しっかりと御礼を伝えるための礼状です。
いかがでしたでしょうか。
葬儀には様々なお礼のかたちがあります。
それぞれの意味、あり方を理解し故人様に代わり感謝の気持ちを丁寧にお伝えしたいものです。