大切な方が亡くなったときには、多くの方が葬儀社に連絡をして、ともに葬儀を作り上げていこうとします。
現在では当たり前に存在するこの「葬儀社」について、ここではその選び方や安く利用する方法、そして良い葬儀社とはどのようなものかを解説していきます。
かつての葬儀は、その土地その土地の共同体で行われるのが普通でした。「村八分」という言葉がありますが、これは「火事と葬儀を除いた行事から、その家庭を除くこと」を指す言葉です。逆に言えば、そのような状況であっても葬儀(や火事)のときは全員で協力しあったわけです。
ただ時代が現在に近づいていくうちに、やがてこのような概念も移ろっていきました。葬儀を共同体だけで完結するのではなく、プロである集団に依頼しようとする考えが広く受け入れられていったのです。
そのプロの集団こそが、「葬儀社」です。
葬儀社は葬儀に関するあらゆる知識はもちろん、葬儀に必要なものを滞りなく手配するノウハウも持っています。特に現在では、「病院で亡くなり、亡くなった方を移動させなければならなくなった」という都合上、ほとんどすべての方が葬儀社を利用することになります。故人様を一般の乗用車で運ぶこと自体は違法ではありませんが感染症のリスクもありますし、火葬場のなかには「個人からの申し込みは受け付けない」としているところも多くみられます。
現在の葬儀においては、葬儀社はなくてはならない存在だといえます。
ほとんどの方にとって葬儀は初めての経験です。そのため、どんな葬儀社を選んだらいいかわからないという方も多いことでしょう。ここではそんな方のために、「良い葬儀社の条件」を紹介していきます。
絶対的なものではありませんが、「資格を持っているスタッフがいるかどうか」は良い葬儀社を選ぶときの判断基準の1つとなりえます。
葬儀に関わる資格は非常にたくさんありますが、葬祭ディレクターや納棺士などの資格は直接的に葬儀に関わるものです。そのため、これらの資格を持っているスタッフがいる葬儀社を選ぶとよいでしょう。
「資格面から葬儀社を選ぶのが良い」とされる理由は、単純に「スタッフ個人の能力が高いから」だけではありません。
スタッフに積極的に資格をとらせようとする葬儀社は、葬儀社としての体力があったり、社員の向上心アップに努めたりしている「真面目な」会社であることが多いからです。そしてこのような葬儀社は、当然のことながらお客様にも誠実に向き合ってくれます。
葬儀は非常にお金がかかるものです。また、お布施や飲食費用のように、明確に予算を出しにくい部分もあります。
ただそれでも、良い葬儀社は必ず追加料金が極力発生しないように気をつけながら見積もりを作ろうとします。担当者によっては、「この見積もりには〇〇と△△が含まれていない」と教えてくれることもあるでしょう。
良い葬儀社を選ぶためには
・予算を伝えてみて、その予算内で収まるプランを提案してくるか
・無理に高いプランを進めようとしてこないか
・「このプランに含まれていないものは何か」と聞いた時に誠実に答えてくるか
などをチェックするとよいでしょう。
最後に、「スタッフの受け答え」を見ておきましょう。
無理にオプションをつけようとしていないか、居丈高な態度はとっていないかをまず見ます。
このときには、(潜在的な)顧客に対してだけではなく、スタッフ同士のコミュニケーションにも注目するとよいでしょう。
また、自社で葬儀ホールを持っている会社ならば、その葬儀ホールの手入れが行き届いているかどうかを確認します。いろいろな意味で余裕のない葬儀社は、掃除にまで手が回らないからです。
上記では「良い葬儀社の選び方のポイント」について解説してきました。
では、「AとB、2つの葬儀社がある。どちらも上の条件をクリアしているが、どちらにしようか迷っている」という場合はどうすればよいのでしょうか。
このときは、下記の2点で絞り込むとよいでしょう。
葬儀のかたちが多様化している現在、「自分好みの葬儀をしたい」「亡くなった方の愛していたものを取り入れた葬儀にしたい」などの希望もよく出てくるようになりました。
良い葬儀社はお客様からの希望があった場合、その希望をどうにかして叶えようとします。しかしどうしても難しかったり、経験値が足りなかったりする可能性はあります。葬儀社によって、得意とする葬儀のかたちは違うからです。
そのため、希望とする葬儀のかたちがあるのなら、それを最大限に叶えてくれる葬儀社を選ぶとよいでしょう。なお、この方法は時間もかかるため、生前から用意しておくことが求められます。
地理的な話も考えていきましょう。
葬儀に関係する移動は多くの場合車を利用することになりますが、それでも近場であった方が使いやすいのはたしかです。
また、葬儀社が葬儀ホールを持っている場合でかつ遠方からの弔問客が大勢来るであろうことが予想される場合は、公共交通機関からアクセスしやすい葬儀社(葬儀ホール)を選ぶべきです。
ここまで「葬儀社の選び方」について解説してきましたが、ここからは「葬儀社を安く利用する方法」について解説していきます。
まったく同じ条件で、複数の葬儀社に見積もりの依頼をしてみてください。このときに上がってきた見積書を見比べると、価格の差が明らかになります。
ただし、「A社では通常プランに含まれるが、B社はオプション扱い」などになっていることもあります。このため、「その会社はどこまでを通常プランとしているか」も比較しましょう。
葬儀社の多くは、会員制度を設けています。これは、葬儀になる前に(なった後からでも入ることのできる葬儀社もある)その葬儀社に加入していた場合、お見舞金が出たり割引になったりします。
葬儀の場合は値引き率も非常に大きいので、葬儀社が本決まりになった時点で入っておくとよいでしょう。
すべての葬儀社に適用される話ではありませんが、多くの葬儀社は「以前にご家族が会員になっていた場合、新しく入会金などを支払うことなく割引制度を使える」としています。
このような制度を実施している葬儀社がある場合は、再度同じところを利用してもよいでしょう。
なお、安く上がる葬儀社を探したいならば、生前からの準備が必須となります。
ご臨終~通夜までの期間は非常に短く、亡くなってから相見積もりをとるのは非常に困難だからです。
決定したら、その葬儀社の名前をエンディングノートに記しておきましょう。
葬儀社は、今や葬儀において欠かすことのできない存在になりつつあります。
ただ、そうであるからこそ、慎重な葬儀社選びが求められます。
資格を持っているスタッフがいるか、費用の面はどうか、対応はどうかなどを参考に絞り込んでいきましょう。