「家族葬」は、親しい方を中心に小規模に行う葬儀形式のことです。
盛大な葬儀を好まない傾向にあったり、故人様が高齢のため参列者が少ないことなどの理由から、この形式がよく注目されるようになりました。
ここでは家族葬についての疑問や不安を解決いたします。
♦家族葬とは何か
♦家族葬の流れ
♦家族葬のメリットとデメリット
♦家族葬を選ぶべき方(ご家族)
について解説していきます。
家族葬とは、家族や親族、親しい友人・知人を中心に行う葬儀形式をいいます。
一般葬の場合、新聞に訃報を掲載したり、生前にご縁のあった友人、仕事関係、趣味やサークル、ご近所の方にお知らせします。
対して家族葬の場合は、家族や親族、親しい友人・知人に限定してお知らせします。
忌引きを取るために会社や学校に訃報を伝えるときにも、身内のみが参列する家族葬であることをお伝えしましょう。
上記の内容から、一部の特例を除き、家族葬は一般葬よりも小規模な葬儀となります。
なお、お声がけする方としては「故人様と深いつながりがある人」が基本となります。
ただ、「家族葬」といっても、「家族以外を呼んではいけない」というものではありません。
故人様が非常に親しく付き合っていた方達であれば、「家族葬」であっても声を掛ける場合もあります。
家族葬であっても、葬儀の流れは一般葬と変わりありません。
1.臨終~葬儀会社へ連絡
2.移動〜安置(ご逝去場所から希望安置場所)
3.枕経※注1
4.翌日納棺~葬儀会場へと移動
5.お打合せ
6.納棺の儀〜移動(葬儀式場へ移動)
7.通夜
8.葬儀、告別式、ご出棺
9.火葬〜収骨
10.繰上初七日法要 ※注1
※注1 地域や状況によって異なります
11.精進落とし
となります。
家族葬も一般葬も葬儀の日程は変わりませんが、家族葬の場合、通夜振る舞いや精進落としなどの工程が省略されることがあります。
また上記で紹介した流れのように通常は「自宅に安置し、通夜を行い、葬式・告別式を行い、初七日法要を行い、精進落としを行う」として日数に幅を持たせて行いますが、通夜を省いて行う一日葬や、火葬場でのお別れのみで終わる火葬式(直葬)が選ばれる場合もあります。
ここからは、家族葬のメリットとデメリットについて解説していきます。
家族葬に限ったことではありませんが、メリットとデメリットを知ることで、「後悔が無いご葬儀」を行うことが可能です。
【メリット】
♦参列者への対応が軽減される
♦葬儀費用を抑えられる場合がある
♦体力的に負担が少ない
【デメリット】
♦親族などから反対が起きる可能性がある
♦「呼ぶべきか、呼ばざるべきか」の判断が必要になる
♦後で弔問を受ける機会が増える
などがあげられます。それぞれ見ていきましょう。
♦参列者への対応が軽減される
一般葬の場合、多くのご会葬者へ挨拶や気遣いが必要となりますが、身内や近しい方々のみが参列する家族葬では参列者が少ないため対応負担を軽減することができます。
家族葬はそのほとんどが親族であり、同じ痛みを抱える気の置けない方であるかと思われます。
参列者対応に追われることなく故人様を偲び、故人様のことを語り合い、ゆっくりと最後の時間を過ごすことができるでしょう。
♦葬儀費用を抑えられる場合がある
葬儀にかかる費用は、大規模であればあるほど高くなります。
家族葬の場合は一般葬に比べて小規模なものとなるのが基本であるため、葬儀にかかる費用自体は抑えることができます。
ただし家族葬の場合は、費用は抑えられるが、持ち出しは多くなる可能性あります。
また、一般葬のときに入ってくる「香典」がない、もしくは非常に少なくなります。香典は相互扶助の精神の元で出されるものであり、葬儀費用を補填するためにも使えるものです。
もちろん香典で葬儀費用のすべてを賄うことは難しいのですが、「家族が現役世代であり、交流関係が広かった」などの場合は、結果的には一般葬の方が出費額が少なくなることもありえます。
♦体力的に負担が少ない
あまり取り上げられることはありませんが、体力的な負担が少ないのも家族葬のメリットです。
家族葬では参列者が少ない分、葬儀全体の手間が軽減される傾向があります。
焼香ひとつをとっても、大勢の参列者が焼香をする一般葬と、限られた人数の参列者が焼香する家族葬では、家族葬の方が焼香にかかる時間は短くなります。
気心知れた参列者のみで行われるため気疲れすることも少なく、体力の負担軽減にも繋がるでしょう。
♦ご親族などから反対が起きる可能性がある
現在は認知度も上がったとはいえ、小規模な家族葬ではなく一般葬を望む親族もいらっしゃるでしょう。
そのため、「最後ぐらい豪勢に送り出してあげたい」「最後の親孝行なのに、こんなに小さな葬儀にするとは何事か」という反対意見が、ご親族から起こる可能性もあります。
♦「呼ぶべきか、呼ばざるべきか」の判断が必要になる
家族葬のもっとも大きなデメリットは、「どこまでの方にお声がけするのか」という判断が必要ということでしょう。
家族葬では、限られた方しか参列できません。
そのため、「私も参列したかったのに呼ばれなかった」などの不満が起こりがちです。
こういった不満が出ないようにするための選定が、非常に難しいといえます。
♦後で弔問を受ける機会が増える
家族葬に参加できなかった方は、後日弔問というかたちで喪家を訪れることがあります。
一般葬の場合、弔問は当日の「通夜・葬儀」ですが、家族葬の場合、葬儀後自宅に弔問客が訪れることが考えられます。その際、返礼品を用意したりなどの対応に追われることになります。
そのため、逆に時間的な負担が増えてしまう可能性があります。
以上を踏まえると、家族葬はどの様な方に合っているのか?が分かります。
家族葬に適している方は、
♦故人様も喪主も高齢である
♦精神的あるいは肉体的にダメージが大きく、静かにお見送りをしたい
♦体力面に自信がない
♦葬儀にかかる費用をできるだけ抑えたい
♦ご親族から反対意見が出ていない
に当てはまる方だといえるでしょう。
補足として、「故人様が家族葬を希望」というケースも、「家族葬を選ぶべきケース」に当てはまります。
静かにご家族だけでお見送りができる家族葬は、体力面・金銭面・時間的な負担を軽減したい方(ご家庭)には特におすすめです。
しかし、後日の対応が必要になったり、反対が起きたりすることもある形式ですので、上記を踏まえたうえで決められることをおすすめします。