葬儀に掛かる費用は、故人様の遺志やご遺族の考え方、希望によって異なります。
しかし、葬儀に関する知識がないと、予想以上の出費となり、後悔するかもしれません。
葬儀に関わる経験は、人生にそう多くはありません。
また、故人様をしっかり送りたいが葬儀費用は極力抑えたいと考える人も多くいらっしゃるでしょう。
この記事では、葬儀に掛かる目安となる費用の内訳や費用を抑えるポイントを紹介します。
故人様やご遺族が納得できる葬儀を執り行うためのポイントを知り、慌てないように事前の準備をしておきましょう。
葬儀を執り行う上で、最も気になる点といえば、費用ではないでしょうか。
葬儀費用は、故人様やご遺族が望む葬儀スタイルや葬儀会場の規模、参列者の人数によって大きく変わります。
ここでは、平均的な費用、葬儀形式毎の費用の目安を紹介します。
葬儀費用の平均は、一番多いもので100万円~200万円程となっており次いで50万円~100万円程となっています。
ただし、葬儀形式や葬儀規模、参列者の人数などによって費用は変わるため、あくまで大まかな目安となります。
以前は一般葬が主な葬儀形式でしたが、近年は家族葬など多様に葬儀スタイルも変化しています。
では、それぞれの葬儀形式での費用はいくら位なのでしょうか。
ここでは、葬儀形式別の葬儀費用を紹介します。
♦一般葬
一般葬は、家族、親族だけでなく、友人・知人・会社関係の人にも参列していただく葬儀形式で、通夜、葬儀、告別式、火葬を2日間で執り行います。
参列者の人数が多いと予想される場合、葬儀規模は必然的に大きくなるため、100万円以上の費用がかかります。
♦家族葬
家族葬は、家族や親族、親しい友人など限られた人だけが参列する、一般葬より小規模な葬儀形式です。
一般葬と同じく、通夜~火葬までを2日間で執り行います。
参列者が少なく、葬儀規模も比較的小さいため、一般葬に比べ、葬儀費用が抑えられる傾向にあるようです。
葬儀費用は、100万円程です。
♦一日葬
一日葬は、通夜はなく、1日で葬儀、告別式、火葬を執り行う葬儀形式です。
葬儀にかかる日数が1日で終えられるため、家族葬より葬儀費用が抑えられます。
葬儀費用は、50万円程度になります。
♦直葬・火葬形式
直葬・火葬形式とは、通夜、葬儀、告別式をせず、火葬のみ執り行います。
家族、親族のみで執り行い、一般の参列者はお招きしません。
費用を抑えたい、参列者が少ない場合に適しています。
葬儀費用は、50万未満と葬儀形式の中で、一番安く収まります。
葬儀形式を決めると、気がかりなのは、誰が葬儀費用を負担するのかという点です。
主催者である喪主が負担するのが一般的ですが、経済的な事情から難しい場合もあります。
喪主以外が負担する場合もありますので、見ていきましょう。
葬儀費用は、喪主が支払うのが一般的です。
喪主は、身内が務める場合が多いですが、故人様の遺言や意思に従い、喪主を決めている場合もあります。
故人様の遺志や遺言がない場合は配偶者、配偶者がいない場合は血縁関係の深い人が優先的に選ばれます。
喪主が葬儀費用全額を負担できない場合、葬儀の世話役である施主が代わりに支払うこともあります。
一般的に施主は配偶者や血縁者など故人様の家族が務める場合が多いですが、血縁関係のない方が務めることも可能です。
喪主、施主ともに葬儀費用全額負担が困難な場合、兄弟や姉妹などの相続人が複数で分担、支払うこともあります。
葬儀を執り行う遺族は、故人様の共同相続人が一般的であるため、相続人同士で話し合い、お互いが納得の上、分担しておくことが大切です。
後悔をせず、納得できる葬儀内容にするには、葬儀費用の内訳を知っておく必要があります。
葬儀会社から提示された見積りの際の参考にしてください。
葬儀一式費用は、サービス費用と葬祭用具費用に分かれます。
葬儀社により異なりますが、大まかには次の表のとおりです。
葬儀一式費用の内訳 | 一般的な内容 |
---|---|
サービス費用 | ・ご遺体搬送費 |
・ご遺体安置費 | |
・出棺車両利用費、送迎車両(バス、タクシーなど)手配 | |
・火葬料 | |
・葬儀運営スタッフ等サービス費 など | |
葬祭用具費用 | ・葬儀会場等施設利用料 |
・祭壇 | |
・棺 | |
・骨壺 | |
・遺影写真 | |
・供花 | |
・供物 | |
・保冷剤 など |
その他、葬祭用具費用となる生花装飾や棺、骨壺をグレードアップすれば、オプション費用の追加となり、葬儀一式費用に追加されます。
飲食接待費は、通夜の参列者にお出しする「通夜振る舞い」や火葬後の「精進落とし」の飲食代や配膳にかかるサービス代です。
また、会葬御礼や香典に対する返礼品や、遠方から通夜、告別式に参列する方の宿泊代も含まれます。
宗教者費用とは、宗教者へのお布施や御車代、御膳料、読経料、戒名料、心づけが主な費用です。
特に戒名料は、檀家や宗派、戒名の位により変動します。
宗教者に金額の確認が困難な場合は、葬儀会社の関係者または親戚の経験者などに確認しておくとよいでしょう。
見積りと実際の請求額に大幅な差があれば、後にトラブルが発生するケースもあります。
葬儀会社だけに問題があるとは限らず、ご遺族側も見落としてしまっている場合もあるかもしれません。
ここでは、葬儀費用が高くなる主な原因を挙げてみます。
葬儀会社の基本的なプランでも、葬儀中に追加料金が発生することがあります。
参列者が予想以上に多くなると想定されれば、葬儀の規模も大きくなり、式場や祭壇の変更、飲食接待費など追加費用が発生します。
そのため当初の見積りに比べ、葬儀費用が大幅に増え思わぬ出費となってしまいます。
葬儀会社にすべて任せていると、高額な葬儀費用になる可能性があります。
葬儀費用の見積りの確認を怠ると、葬儀会社の担当者の判断による葬儀となり、全体的に費用が高くなってしまう場合もあります。トラブルにならないためにも明細書、見積書の確認はしっかりと行いましょう。
宗派によっては、戒名料やお布施代が高くなる場合があります。
特に故人様が檀家であった場合、戒名の位となる院号などがつくと、戒名代は驚くほど高額になります。
また、宗派によってお布施の金額が異なることも注意する点です。
戒名やお布施の相場をあらかじめ調べておくと安心でしょう。
香典を辞退している場合、遺族が葬儀費用を全額負担することになり、支払いの際に高く感じてしまいます。
家族葬や一日葬など小規模な葬儀でも、香典を辞退した場合は、香典の収益が無い分、葬儀費用が高くなることもあります。
香典を辞退すれば、香典返しの返礼品は必要なくなりますが、葬儀費用の一部と考えるのであれば、香典の辞退について家族間でよく検討しましょう。
葬儀の規模や形式は、多様化しているため、決して豪華な葬儀が良いとは限りません。
費用を抑えても、遺族の思いが詰まった葬儀を行うことができます。
ここでは、葬儀費用を抑えるポイントについて紹介します。
複数の葬儀会社の見積りを取り比較しておくと、葬儀内容が同じでも、価格の抑えたプランを選べます。
葬儀会社は数多くありますので、事前に比較検討しておけば、多くの情報が得られ、最適なプランを選べるのです。ただし、この場合は時間が必要となるので生前からの準備が必要となってくるでしょう。
葬儀会社と事前に契約しておくことで、予算の範囲内で理想の葬儀が執り行えます。
病院に勧められた葬儀会社で決めると、紹介料が含まれていたり高額な費用になるケースが多いため、事前に選んだ葬儀会社と契約しておくことで、家族も安心できるでしょう。
葬儀規模を小さくすることで、葬儀費用を抑えられます。
現在は、一般葬のように大規模な葬儀ではなく、家族葬や一日葬を執り行うご遺族が増えています。
とくに故人様の遺志によるものがなく、参列者の人数が限られている場合は、小規模な葬儀を検討するのも良いでしょう。
香典を利用すれば、一部の葬儀費用を賄うことが可能です。
しかし、静かな葬儀にしたいと望んでいるご遺族は、香典を辞退することもあるでしょう。
このように香典辞退をしている場合や、家族葬や直葬などのように親近者のみで行う葬儀では香典の収益はあまり見込めないでしょう。
経済的な理由で葬儀を執り行えない方のために、自治体が葬儀費用を援助する補助金・扶助制度を利用できます。
葬祭補助金・扶助制度は、自治体によって金額や手続きが異なるため、あらかじめ葬儀会社に確認しておいたほうがよいでしょう。
葬儀費用を遺産相続で支払う方法もあります。
故人様の遺産を相続した場合、相続遺産から葬儀費用を支払えば、相続遺産が減り、相続税の対策になります。
ただし、葬儀費用の内訳によって相続遺産の対象になるもの、ならないものがあるため、注意が必要です。
葬儀を滞りなく執り行うには、目安となる費用をあらかじめ知っておくことが大切です。
特に初めて喪主になる方には、不安なことでしょう。
大切な方をきちんとお見送りしたいという気持ちがあれば、葬儀費用を抑えていても満足がいく葬儀を行うことができます。
そのためには、どのようなお葬式にしたいのかイメージをし、予算に沿った葬儀プランをしっかりと葬儀社と打合せしましょう。
葬儀以外にかかる費用に関しても事前に調べておくことで不安をなくし、ゆっくりと故人様との最後の時間を過ごせるようにしましょう。