「葬儀にはどれくらいの日数が必要なの?」という素朴な疑問を持つ人は、少なくないのではないでしょうか。
ここでは「葬儀と日数」をテーマに、
♦葬儀一連の平均日数
♦葬儀の日程に関係する法律
♦六曜と葬儀
♦安置所と火葬場
♦日程を決めるうえで考慮するべきこと
を解説していきます。
葬儀は、基本的には「通夜と葬式・告別式」で成り立っています。
特段の事情がない限りは、「通夜の翌日に葬式・告別式を行う。その後火葬を行い、繰上初七日法要と精進落としをして解散」という流れになるでしょう。
この場合は、
7/1の13:00ご逝去
7/2の18:00通夜開始
7/3の11:00葬式・告別式~火葬~繰上初七日法要と精進落とし
などのように日程が組まれることが多いといえます。
この日程でいけば、「ご逝去から葬送儀礼のすべてが終わるまでの期間は、3日間」となります。
ただし、実際には地域やご家族の事情によって異なります。
特に首都圏では火葬場の確保が難しいこともあるため、ご逝去から通夜まで1週間程度かかることもあります。また逆に非常に早いケースでは、「7/1の(明け方)3:00逝去、7/1の18:00から通夜」などのようなスケジュールになることもあります。
なお、現在は「一日葬」「火葬式」といったスタイルもよく提案されるようになりました。一日葬の場合は通夜がなくなりますし、火葬式の場合は火葬場でのお別れのみです。そのため、基本的には上記の日程よりも1日短く、またかかる「時間」も短くなります。
日本では、「死後24時間を経過しない場合は、遺体を火葬してはならない」という決まりがあります(※感染症での死亡であり、そのままにしておくと感染症が広まってしまう可能性がある場合などの特例を除く)。
医学の技術が発展している現在とは異なり、昔は「本当に亡くなっているかどうかを確定する技術」は確立されていませんでした。たとえ亡くなっているように見えても仮死状態にある可能性も否定できなかったため、このような規約が設けられたのです。
この規約は令和の現代でも生き続けています。そのため、一部の特例を除き、死後24時間以内の火葬はできません。
実際には仏教にも神道にもキリスト教にも関係のないものではありますが、暦の分け方に「六曜」というものがあります。
これは日にちを6つに分けて、それぞれに意味を持たせたものです。そのなかでも慶事に相応しいとされる「大安」と、文字面から「友を引いていく」と考えられてきた「友引」は、葬儀に相応しくない日であるといわれてきました。
現在は「これは迷信であり、これによって葬儀のスケジュールをずらす必要はない」とする考え方が支配的です。ですが、どうしても「友引」に葬儀を行うことが気になる場合は、「友引人形」を入れることもできます。友引人形は燃える素材で作られた人形であり、「生きている人を引いていくのではなく、この人形を引いて行ってください」という願いを込めて棺に入れるものです。
もっとも、「迷信だ」と言われても、「やっぱり気になる」という人もいることでしょう。また「喪主である自分は気にしていないが、親族で気にしている人がいる」というケースもあるかと思われます。
この場合は、特にこだわりがないのであれば、だれもが気持ちよく送り出せる日に変更するように検討してみてもよいでしょう。
※また、地域によっては火葬場が友引に稼働しないため出棺ができないケースも多くあります。葬儀社の案内に従って日程を調節するようにしましょう。
現在は、ほとんどの人が病院で亡くなります。そのため、亡くなった直後には病院の霊安室などに移動になるケースが多いといえるでしょう。
意外に思われるかもしれませんが、この「霊安室」は長く居続けられるものではありません。スペースが非常に限られているため、できるかぎり速やかに故人様に移動してもらわなければならないのです。
この場合の移動先は、
♦ご自宅
♦葬儀ホール(安置場所があるところ)
のほぼ2択です。なお葬儀ホールを利用する場合は、料金面について確認しておいた方がよいでしょう。
※ご遺体の搬送を個人の車で行うことは現実的ではありません。葬儀会社にご連絡ください※
火葬場のスケジュールを確認することも重要です。
先に少し述べましたが、都心部の場合は火葬場のスケジュールに空きがなく、火葬が1週間後などになってしまうこともあります。また、火葬場の休業日はそれぞれの施設で異なりますが、1月1日はほぼすべての火葬場が休業となります。(友引が休場の火葬場もあります)
葬儀の日程を決める際に考慮しておきたいことは以下の3点となります。
1.参列してもらいたい人と宗教者(菩提寺のご住職など)と葬儀ホールの空き状況
2.火葬場の休場日と空き情報
3.故人様とどれくらいの時間を一緒に過ごしたいか
の3点です。
特に1と2は多くの方々・いろいろな施設のスケジュールが関わってくることですから、非常に重要です。そのうえで、「肉体を持った故人様とどれくらいの時間を最後に一緒に過ごしたいか」を考えて日程を決めていくとよいでしょう。
なおどれだけ丁寧に処理をしていても、ご遺体は徐々に傷んできます。ドライアイスなどで処理をしていきますが、例えば、「海外に行っている子どもが帰ってくるまで10日はかかる」などのように葬儀までに日数がかかってしまう場合などは葬儀会社のスタッフに相談してください。
この「スケジュール」を組んだうえで、六曜を気にする人がいるのであればその意見も考慮していくとよいでしょう。
葬儀にかかる時間は、最短でも2日、長い場合は1週間を越えることもあります。これは「何時に亡くなったか」「どのようなかたちでのお見送りを希望するか」「都心部かそうではないか(火葬場の空きはあるか、それともないのか)」によって異なってきます。そのため、絶対的な正解があるわけではありません。ただ目安として覚えておくと、「その時」がきても焦らなくて済みます。
また、日程を決める際は、「ご家族ご親族と宗教者、葬儀ホールと火葬場のスケジュール」をみます。そのうえで、六曜などを気にする人がいたのならばその希望に沿うように考えていくことをおすすめします。