大切な家族が亡くなった場合、それをほかの人にも知らせていかなければなりません。
そしてこの「人が亡くなった知らせ」のことを、「訃報(ふほう)」といいます。
ここでは、
♦そもそも訃報とは何か
♦訃報を知らせるための手段や方法と範囲
♦訃報で知らせるべきこと
♦訃報の例文
について取り上げ、これを解説していきます。
冒頭でも簡単に説明しましたが、訃報とは「人が亡くなった知らせ」のことをいいます。
「いよいよ危ない」となったとき、病院から家族にまず連絡が入ります。
家族は病院に駆けつけることになりますが、病院側が連絡する相手は基本的には緊急連絡先だけ(あるいはその周りの極めて狭い範囲)だけになるでしょう。
病院からの連絡を受けた人は、臨終の間際に会わせたい人たちに連絡を取りますが、当然のことながら、故人様が付き合ってきたすべての人に連絡を取れるわけではありません。
そのため、「故人様の臨終の場所にいることができなかった人」「故人様が旅立ったことを知らない人」に対して、故人様が亡くなったことを知らせる訃報を出さなければなりません。
人の死は、いつ訪れるか分かりません。そのため、「そのとき」に備えて、連絡するべき相手をリスト化しておくことをおすすめします。
訃報は、あらゆる連絡のなかでもっとも優先されるべきものです。
そのため、基本的には電話で伝えることになります。ただ、関係性によっては、連絡をするべき時間や連絡をする方法が異なります。
故人様と極めて近しい関係にある家族や同居家族の場合は、まず危篤の連絡を受けた時点ですぐに電話で連絡をします。
現在は携帯電話があるため携帯電話に連絡をするのが基本ですが、学校や仕事ですぐに連絡がつかない場合は学校・職場に電話を掛けて呼び出すように頼んでも問題ありません。
また、真夜中や早朝であっても、すぐに連絡すべきです。
基本的には3親等以内を目安に連絡をします。
ただし、「姪っ子の子どもと非常に仲が良く、入院してからも何度も足を運んでくれていた」などのような場合は、当然彼・彼女にも連絡を行います。
また逆に、「非常に肉親の縁が薄い人で、3親等以内どころか親や兄弟姉妹とも連絡を取っておらず、子どもである自分も配偶者や子どもを彼に会わせていなかった」などのような場合は1~2親等程度への連絡で事足りることもあります。
特に親しく付き合っていた人に対しては、危篤の連絡を受けた時点で電話でお知らせをします。
当然、深夜でも早朝であっても問題ありません。
「葬儀には参列してほしいが、それほど近い関係ではなかった」という場合は、亡くなった後に電話で知らせます。
深夜・早朝でも連絡をしても構いませんが、「血縁上のつながりだけで、数年に1度会う程度だった」という場合は、連絡のつきやすい時間に連絡するかたちで問題ないでしょう。
「家族同然に付き合っていた友人がいる」という場合は、危篤状態あるいは亡くなった後にすぐに連絡します。
この場合も、携帯電話への連絡が基本です。親しい相手であっても「友人」ポジションの相手ならば、残されたご家族はその人の勤務先までは知らないことが多いかと思われます。
そのため、本人の携帯電話に連絡するまでで構わないでしょう。
それ以外の人への連絡は、故人様の携帯電話から電話をしたり、メールをしたり、SNSを利用したりして連絡をします。
なお現在は、X(旧Twitter)などに代表される「SNSの友人」がいる人も多く見られます。あえて本名を明かさずに、しかし10年以上に渡る付き合いがあるケースも非常に多いといえます。
このような場合は、本人の携帯電話(スマホ)からSNSにログインし、最新投稿で本人が亡くなった旨を代理人として告知するかたちを取るとよいでしょう。
一般葬の場合、残されたご家族の友人が葬儀に来ることも多いかと思われます。
この場合は、SNSなどでの連絡で事足りるでしょう。グループでやり取りをしているのならば、個別に連絡するのではなく、グループ内で発言するだけで構いません。
深夜や早朝の連絡でもバッドマナーとまでは言えませんが、基本的には避けます。葬儀の日時・場所が決まってから連絡してもよいでしょう。
町内会などへの連絡は、代表の人1名に行います。
深夜や早朝は避けましょう。葬儀の日時・場所が決まってから連絡をすると、手間がありません。
急な訃報であったのならば、速やかに連絡をします。
ただ職場や学校の場合、深夜や早朝は開いていませんし、直属の上司などについては家族も把握していないことが多いかと思われます。そのため、職場・学校への連絡は、深夜・早朝を避けて行うことになるでしょう。
学校に対しての連絡は、学校が始まる時間に行うかたちで問題ありません。
職場に対しての連絡は、基本的には「直属の上司に電話をする」が正解です。特に「明日の朝一番に重要な会議がある」という場合は、深夜・早朝の連絡となっても仕方がないでしょう。
ただし不通の場合もありますから、この場合はメールなどを送るかたちで対応します。
取引中の会社・相手に対しては、基本的にはメールでのお知らせで問題ありません。ただこれも、「朝一番に会議がある」という場合は、できるだけ速やかに電話で連絡します。
訃報を伝えるときに網羅しておくべき点は、以下の通りです。
♦故人様の名前と、自分(送り主)との関係
♦喪主の名前と連絡先
♦一般葬の場合は、葬儀の日程と場所と宗教宗派
♦【職場・学校の場合】忌引き休暇を取りたい期間
♦【職場で取引先相手の場合】忌引き期間
また、この時点で決まっていれば、代わりに対応する人間の名前と連絡先
なお、「一般葬にするが、葬儀の日程と場所はまだ決まっていない」という場合は、「葬儀の日程に関してはまた後程案内する」と書き添えます。
「家族葬なので、一般の弔問は遠慮する」という場合は、参列してもらう人にだけこれを記し、そうではない人への連絡には日時や場所は書きません。た
だ「忌引き休暇を取るためにはこれを申告する必要がある」という場合は、日時を書いたうえで、「家族葬であること」を書いておきます。
最後に、訃報の例文を紹介します。
「母〇〇 ×月×日×時に永眠いたしましたので御連絡差し上げます
生前に〇〇が賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます
通夜および葬儀告別式の日程が決まりましたので謹んでお知らせ申し上げます
通夜 □月□日□時
葬儀告別式 ▽月▽日▽時
場所 通夜および葬儀告別式ともに★★会館(★★会館の住所と電話番号)
喪主 ◎◎
連絡先 090-・・・・ー・・・・」
これが基本の例文です。訃報の場合、冒頭の挨拶などは省略します。また、句読点は用いないのが一般的です。
「死」は、突然訪れます。
ただ残されたご家族は、大切な人の死に際した場合、できるだけ速やかにそれをほかの人に知らせる必要があります。
あらかじめ「知らせるべき相手」「知らせるべき時間」「知らせるべき内容」を把握し、連絡すべき相手を事前にリスト化しておくことで、とまどいや混乱を少なくすることができるでしょう。