家族葬・・・家族やごく親しい友人を中心とした少人数で行う葬儀スタイル
葬儀に対する考え方の変化などからこういった形式での葬儀が増えてきました。
しかし一般葬とは異なり、最期のお別れをすることのできない方が多い葬儀、とも言えます。
故人様の意向であったり、高齢のこともあり小規模での葬儀としたい、親しい者だけでゆっくりとお別れしたい・・・・
など家族葬に至った経緯はさまざまでしょう。
家族葬で葬儀を行う場合、参列者以外には訃報をすぐには伝えません。家族葬で行う旨を伝えても、弔問に訪れる方がいるかもしれないからです。
訃報を知らせなかった方たちには、事後報告を行うのが一般的です。
その際、どのようなことに注意して報告すればいいのでしょうか。
今回は、家族葬の事後報告においての書き方やマナーを、例文と共に解説していきたいと思います。
家族葬の特徴として、葬儀にお呼びする方を限定する点が挙げられます。そのため参列していただかなかった方々へは事後報告となってしまいます。
家族葬の事後報告は、厳密にいつまでにしなくてはいけないという決まりはありません。
ただ、あまり日が開いてしまうのもよくありません。葬儀が終わって1~2週間以内を目安に行い、四十九日の法要後あたりまでには事後報告ができると良いでしょう。
中には、訃報を聞いて弔問に訪れる方もいるかもしれません。
まだ落ち着いていない状況下で弔問客の対応に追われてしまうと、ご家族の負担になってしまいます。ご家族で話し合い、落ち着いたタイミングで報告するようにしましょう。
葬儀後の訃報は、決まりはありませんが、主に参列できない親戚や故人様の友人・知人となります。
♦生前お世話になった人
♦療養中にお見舞いに来てくださった人
♦遺族が親しくしている人
♦勤め先・仕事関係の人
♦年賀状のみでのお付き合いの人
など、一般的に報告を怠ると失礼にあたるとされていますので、年賀状や携帯電話・メールなどを参考にし、事後報告を行うのが良いでしょう。
♦︎遠方の親戚や生前付き合いの薄かった親族
家族葬への参列をご遠慮いただく事にした親戚や親族へは、訃報と同時に家族葬で執り行うため参列は控えてもらう旨を事前に伝え、理解していただく事も重要です。
♦︎勤務先や上司
訃報に際し会社では手続きが必要となりますので、勤務先への連絡は速やかに行ってください。
まずは上司へ連絡し、勤務先への報告を行うことをお勧めします。勤務先は手続き上必要ですが、上司への連絡は葬儀へお招きしたいがご遠慮いただくと言った意味が込められています。
家族葬で執り行うため参列はご遠慮いただくことを丁寧にお伝えしておきましょう。
故人様の生前の付き合い方を参考に・・・・・
町内会や自治会で活躍していた方などでしたら、事前にお伝えする事もあるでしょう。
決まりはありませんが、故人様の訃報を耳にし、連絡がなく残念に思う方がおられるのは事実です。
丁寧な対応を心がけると良いでしょう。
事後報告にはいろいろな手段が用いられます。
手紙・電話・メール(携帯・パソコン)、生前より付き合いの薄い方や年賀状のみでの付き合いの方などへは喪中はがきにて「報告」とする場合もあります。
直接お会いしての報告が一番丁寧ではありますが、葬儀後はなかなか気持ちも落ち着かず難しいことでしょう。
その場合は手紙や電話にて速やかにお伝えします。丁寧かつ気持ちが伝わる手段と言えるでしょう。
♦︎メールでの報告について
最もカジュアルな方法と考えてよいでしょう。メールでの報告は相手が気づかずに、結果として報告が遅れてしまう事もありますので慎重に行いたいものです。
「事後報告」で伝えたいポイントとしては次の5つです。
どの様な方法で報告するにせよ押さえておくと良いとされるポイントです。
訃報をお伝えします。
誰が、いつ(年月日)亡くなったのか明確に書きます。
生前お世話になったことへの感謝も伝えましょう。
すでに、家族葬で葬儀を執り行い終えていることを伝えます。
中には「早く知らせてほしかった」という方もいるかもしれません。
「故人様の意思」や「流行病での対応」など家族葬に至った経緯などを伝える事で、相手に理解していただきトラブルを避けることにもつながります。
家族葬は親族・限られた方のみでの葬儀となります。
そのため、多くの方へは「事後報告」となってしまいます。
報告が遅くなってしまったことへのお詫びの気持ちを伝えましょう。
事後報告をする相手は、生前故人様がお世話になり交流を深めてきた方々を中心に行うことが多いです。
故人様の生きた証とも言えるでしょう。
誠意を持って感謝の気持ちを伝える文章を心がけましょう。
家族葬の場合は、後日の弔問や香典をお断りする事がございます。
その際は、辞退する旨をきちんと明記する必要があります。
上記ポイントのほかにも事後報告を書く上での注意点がいくつかありますのでご紹介します。
♦最初の文字は下げない
文章を書く時、冒頭の文字を一字下げて書き出しますが、この場合は下げずに書き出します。(改行の際も同様)
♦「句読点」は使用しない
「流れが切れる」という忌み言葉を連想させる句読点は使用しません。
「、」や「。」は使用せずに文章を書きます。
*句読点を使う場所は1文字分のスペースを開けることとなります。
♦「忌み言葉」、「重ね言葉」に注意
不幸を連想させる「忌み言葉」や、繰り返す事を意味する「重ね言葉」は使用しません。
「たびたび」、「追って」、「ますます」などがあります。
使用しないよう注意しましょう。
♦「時候の挨拶」はしない
葬儀の場において、季節の挨拶は使用しません。頭語・結語もはぶくことがあります。
ビジネスではよく使用しますが、葬儀においては一切使用しません。
♦「送付日」の明記
メールでの報告の際にも必ず作成日を記入します。
♦「喪主」の明記
故人様との続柄、喪主名を記入します。
読み手の混乱を避けるためでもあります。
♦薄墨で書く
弔事に関わる書面は挨拶文でも同様ですが、基本的には薄墨で書くのがマナーとなります。
自作する場合はハガキ印刷の際注意してください。
「事後報告」ではありますが、今後もお付き合いがあるかもしれません。マナーを守り失礼のないよう丁寧にお伝えしましょう。
しかし、あくまでマナーですので、『絶対』ではありません。風習や関係性、宗教などの関係上、適切では無い可能性もあります。
ご自身の状況や送り相手との関係性、故人様のパーソナリティーを鑑みて適切な内容に仕上げると良いでしょう。
家族葬での事後報告の例文としていくつか紹介いたします。
5つのポイントと注意点を振り返りながら見ていきましょう。
*基本的には縦書きとなります。
【例文1】
本年〇〇月〇〇日に 〇(続柄) 〇〇 〇〇(故人様名)が永眠いたしました
ここに生前のご厚情を深謝致しますとともに今後とも変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます
葬儀は故人の意志により近親者のみにて相済ませました
故人の冥福を祈りつつここに謹んでご通知申し上げます
令和〇〇年〇月
〒〇〇〇ー〇〇〇〇
東京都中央区入船〇〇丁目〇〇番
電話 〇〇(〇〇〇〇)〇〇〇〇
〇〇 〇〇(喪主名)
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【例文2】
去る〇〇月〇〇日 亡 〇(続柄)〇〇 〇〇 儀 天寿を全ういたし〇〇歳の生涯を閉じました
なお 葬儀は〇月〇〇日親戚のみにて相済ませました
ここに生前の厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます
令和〇〇年〇月
〒〇〇〇ー〇〇〇〇
東京都中央区入船〇〇丁目〇〇番
電話 〇〇(〇〇〇〇)〇〇〇〇
〇〇 〇〇(喪主名)
【例文】
〇〇 〇〇儀(故人様名)につきましては かねてより入院加療中でありましたが
去る〇〇年〇〇月〇〇日 〇〇歳にて永眠いたしました
ここに謹んでご通知申し上げます
誠に勝手ではございますが
故人の遺志により 葬儀は近親者のみで家族葬にて執り行いました
なお 弔問 香典 供花につきましても故人の遺志により辞退申し上げます
本来であれば早くお伝え申し上げることではございましたが
事後のご通知になりましたこと何卒ご容赦頂きたくお願い申し上げます
ここに生前のご厚誼を深謝し厚く御礼申し上げます
令和〇〇年〇月
〒〇〇〇ー〇〇〇〇
東京都中央区入船〇〇丁目〇〇番
喪主 〇〇 〇〇
家族 一同
事後報告を行う際、メールの報告は略式になりますので、メールを利用する際は慎重に相手を選ぶ必要があります。
文章内容としてはハガキで報告する場合と同じでも問題ないとされています。
ただし、メールはハガキとは違い「件名」があるなど、気をつける点がいくつかあります。
♦︎件名・・・簡潔に。
♦︎送信者と故人様との関係を明記・・・喪主以外の方がメール送信をする場合は故人様との関係を記載するした方が良いでしょう。
♦︎訃報の内容に入る前に一言・・・いきなり訃報の内容を書かず、一言挨拶を入れた方が良いでしょう。
♦︎住所や日時の書き間違えに注意する。
件名:訃報のお知らせ ・【訃報】〇〇 〇〇逝去のお知らせ
本文:
平素よりお世話になっております
〇〇 〇〇の妻〇〇です
〇(続柄) 〇〇 〇〇儀(故人様名)につきましては かねてより入院加療中でありましたが 昨年〇〇月〇〇日 〇〇歳で逝去致しました
早速お知らせ申し上げるべき処でございましたが御通知が遅れました事深くお詫び申し上げます
葬儀は〇月〇〇日に家族のみで執り行いました
尚 誠に勝手ながらご香典ご供花の儀等は故人の意志により固くご辞退申し上げます
ここに生前の御厚誼を深謝し衷心よりお礼申し上げます
令和〇〇年〇月
〒〇〇〇ー〇〇〇〇
東京都中央区入船〇〇丁目〇〇番
喪主 〇〇 〇〇
家族 一同
メールでのご連絡となってしまった事 何卒ご容赦申し上げます
家族葬の事後報告ですが、「通知を出した」「電話をした」で終わりではありません。
通知を受け、弔問に訪れたいと申し出る方もいらっしゃいます。
基本的には、弔問・香典を辞退する旨を記載しているとはいえ、「どうしても」といった際は、無下にせず対応した方が良いでしょう。
また、電話での際は「お気持ちだけで」とお断りするのも良いでしょう。
いずれにせよ弔問に来てくださった方には、素直に感謝し対応するのが良いのではないでしょうか。
家族葬は小規模での葬儀となるため、最後のお別れができず残念に思う方が多くなってしまいます。
だからこそ、丁寧な対応が求められます。
家族葬の事後報告は親族が亡くなったことを通知し、感謝の気持ちを伝えるためのものです。
家族葬にて済ませた事、通知が遅れてしまった事のお詫びと生前お付き合いいただいた方々への感謝の気持ちをしっかりとお伝えすることが礼儀となります。
これまでお話しした注意点などを参考に失礼のない丁寧な報告ができることを願います。
ご不安な際は葬儀社などに相談するとよいでしょう。
手配はもちろん、ご自作なさる際でもお気軽に下記までご相談ください。