もし、訃報を喪中はがきで知った場合、どのような対応をすればいいのでしょうか。
喪中はがきが届いた時点で、葬儀から時間が経ってしまっていることがほとんどです。
慣れない状況ですから、さまざまな疑問が浮かぶと思います。
ご遺族の心情を考えると、対応も慎重にしたいものです。
今回は、訃報を喪中はがきで知った時の対応についてご紹介していきます。
喪中はがきは、身内に不幸があった時に年賀状を送らない旨を伝えるための挨拶状です。
「喪中欠礼状」ともいいます。
「喪中」は、喪に服す期間のことをいいます。
この期間はお正月や年賀状など、おめでたいことを控え、故人様の死を悼みます。
喪中の期間は故人様との関係性によって異なりますが、一般的には「故人様が亡くなってから1年間」とされています。
基本的には、年賀状のやりとりをしている相手や葬儀に来てくださった方々にも送ることとなります。
※会社(仕事上のみでの付き合い)としてやりとりしている方へは送りません。
喪中はがきで訃報を知った際、香典は送るべきなのでしょうか?
香典を送ると、相手もお返しを用意しなくてはいけなくなり、気を遣わせてしまいます。
何か理由があって、訃報をすぐに知らせなかったことも考えられますので、香典を送るのは控えた方がいいでしょう。
しかし、これは故人様との関係性にもよります。
親しい仲であれば弔意を示したい気持ちもあるかと思います。
遺族に過度な気を使わせてしまわない程度に気持ちを送ると良いでしょう。
「香典」は、お線香やお花の代わりに霊前に備える金銭をいいます。
この場合、金銭よりもお線香や蝋燭、お花、お菓子などをおくることをお勧めいたします。
いずれにせよ、相手に気を遣わせないような送りもの、なるべくかさばらず、日持ちするものを選びましょう。
果物であれば、お店の人に「お供え用」と伝えて用意してもらい、お菓子は個包装されているものがお供えしやすいです。
以下が葬儀参列時の香典の相場となります。贈り物の場合にご参考ください。
20代 | 30代〜40代 | 50代〜 | |
---|---|---|---|
友人(一般的) | 3,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
親しい友人 | 5,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
おくりびとのコラム
喪中はがきをもらったら、基本的に返信は必要ないとされています。
相手も「喪中欠礼状」を知らせるために送っているので、返信がなくても問題ありません。
しかし、返信を「出してはいけない」というわけではありません。故人様との関係性によっては、返信したいという方もいるでしょう。
以下、代表的な返信方法をご紹介します。
喪中はがきの返信として一般的なのが「寒中見舞い」です。
「寒中見舞い」とは暑中見舞いや残暑見舞いなどのように季節の挨拶として送られるものです。
喪中はがきをいただいた方へ、年始の挨拶がわりとして追悼の意を込め「寒中見舞い」を送ります。
この場合、年が明けて1月7日以降に送ります。毎年日にちが変わりますが、立春までに送るのがマナーです。
※既に「年賀はがき」を送ってしまった場合は「寒中見舞い」にてお詫びの意をお伝えしましょう。
喪中はがきに対して、すぐに返信をするのが「喪中見舞い」です。
すぐにお悔やみの言葉を伝えることができますので、寒中見舞いを待たずにお悔やみを伝えたい場合に適しています。この場合、年内に返信が届くように送りましょう。
また、喪中見舞いの特徴は、一緒にお線香や香典を送ることができることです。
この際は、文章の最後に「どうぞお供えください」と一言添えましょう。
喪中の人にも送れる賀詞を使わない挨拶状です。新年の挨拶のみを伝えます。
近年では、東日本大震災以降に、地震や台風などの災害で被災した人に対して送るものとして普及しました。
新年を祝う状況ではない方に対して送られるようになった年始状ですが、喪中の方への挨拶状として使用しても問題ありません。
もともとは、励ましの気持ちを伝えたいという思いから普及したものなので、年始状を通して、お悔やみを伝えることもできます。
年始状は、年賀状と同じ松の内(元旦から7日まで、一部地域では15日まで)に届くように送ります。
ただし、年賀はがきを使うのはNG です。
「年賀」は新年の「祝賀」を意味しますので、使用するのは避けましょう。
年始に届くように送るのが良いとされておりますので、大晦日、または年明けすぐに出すようにしましょう。
喪中はがきの返信をする際、気を付けたいのは家族への負担です。
受け取った相手の負担になるようなことは避けなければなりません。
文章においては以下のことに注意しましょう。
♦︎「忌み言葉」や「重ね言葉」は使用しない
♦︎句読点は使用しない(対応としてスペースを開ける)
♦︎季節の挨拶や頭語・結語(拝啓・敬具など)は使用しない
♦︎普通切手を使用する(弔事用の切手使用はマナー違反となります)
また、はがきが届いたのにも関わらず、メールや電話で返信を済ませてしまうのもNGです。
はがきに対して、必ずはがきで返信をしましょう。
ここからは、実際に返信文を見ていきましょう。
寒中見舞い申し上げます
ご服喪中と存じ 新年のご挨拶は控えさせていただきました
この度の〇〇様のご逝去を知って驚いております
遅ればせながら 謹んでご冥福をお祈り申し上げます
寒さが一段と厳しくなります折柄 何卒お身体に気を付けてお過ごしください
喪中お見舞い申し上げます
この度は ご丁寧な挨拶状をいただきましてありがとうございます
〇〇様がご逝去されたと知り 大変驚いております
遅ればせながら 謹んでお悔やみ申し上げますとともに
心よりご冥福をお祈りいたします
喪中でいらっしゃいますので 新年のご挨拶は控えさせていただきます
どうかお身体を大切に 新しい年をお迎えくださいますよう
心よりお祈り申し上げます
喪中お見舞い申し上げます
この度は ご丁寧な挨拶状をいただきましてありがとうございます
お悔やみ申し上げるとともに 〇〇様のご冥福を心よりお祈り申し上げます
喪中でいらっしゃいますので 新年のご挨拶は控えさせていただきます
どうかお身体を大切に 新しい年をお迎えくださいますよう
心よりお祈り申し上げます
心ばかりではございますが 喪中見舞いの品をお送りいたします どうぞお供えください
謹迎新年(又は謹んで新年のご挨拶を申し上げます)
お静かに新年をお迎えのことと存じます
故人のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに 本年が皆さまにとって
穏やかな一年となりますことを 心よりお祈り申し上げます
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※「賀詞」(お祝いの意味を持つ言葉)を使用しないように注意しましょう。「慶・祝・賀・寿」など
いかがでしたか。
今回は、訃報を喪中はがきで知った時の対応について紹介してきました。
喪中はがきが届いても、返信をしないのもマナー違反ではありません。相手の状況を考えると、返信しない方がいい場合もあります。
しかし、ご遺族の心情を考えると、何か言葉を伝えたいと思うこともあるでしょう。
その場合、相手の負担にならないような対応をするのが大切です。
特に、喪中はがきが届く時期は、一般的には年末前です。
これから忙しくなる年の瀬、そして葬儀がひと段落したタイミングです。
落ち着いた頃なので、気を遣わせてしまわないように対応しましょう。