多くの人にとって、葬式は初めてのものです。
葬式に関係する言葉のなかには、似たようなもがもたくさんあります。このため、「この言葉の意味は? 前に聞いたあの言葉とは違うもの?」と混乱することもあるでしょう。
今回はそんな言葉のなかから「火葬式」「直葬」を取り上げ、
・この2つに違いはあるのか、内容はどのようなものか
・火葬式の流れとは
・火葬式のメリットとデメリット
・葬式の料金を抑えるためのコツ
について解説していきます。
札幌での葬儀全般についてご興味がある方やご不明な点がある方は、ぜひこちらをご覧ください
おくりびとのコラム
まず、「火葬式と直葬は違うものなのか」という質問に答えていきます。
結論から述べれば、この2つはまったく同じものです。火葬式=直葬です。そのため、ここでも以下では「火葬式(直葬)」の表記に統一します。なお、基本的にはこの表現が使われますが、まれに、「荼毘葬(だびそう)」と表現されることもあります。
火葬式(直葬)は、数多くある葬式のなかでも、もっとも簡素なスタイルの葬式だといえます。
この火葬式(直葬)の場合は、火葬炉の前でお別れをして終わりです(詳しい流れに関しては後述します)。
火葬式(直葬)の場合は一般的には宗教的儀式を伴いません。ただし、ご家族さまからの希望があった場合は、宗教者に立ち合いをお願いすることができる場合もあります。
また、ごく一部の特例を除き、火葬式(直葬)はご家族さまだけで見送るかたちとなります。一般の弔問客は呼ばず、極めて小さな葬式になるのが普通です。
火葬式(直葬)の流れは、以下の通りです。
1.葬儀会社に連絡をし、故人様をご自宅などに安置する
2.火葬を行うための書類手続きを行う(葬儀会社が行うのが一般的)
3.納棺~出棺
4.火葬場に到着~火葬
5.収骨
5の後に会食などの場を持つこともありますが、火葬式(直葬)の場合は一般的な葬儀に比べて会食も省略されやすい傾向にあります。収骨をし、故人様の遺影と骨壺を持って帰宅されるかたちが一般的です。
ここからは、この火葬式(直葬)のメリットとデメリットについてみていきます。
火葬式(直葬)のメリットとして、
・費用が抑えられる
・時間がかからず、体力がない人でも取り組める
・決めることが少なくて済み、精神的な負担が軽い
が挙げられます。
1つずつみていきましょう。
・費用が抑えられる
火葬式(直葬)は、もっとも小さく、もっとも費用負担が少ない葬式の形態です。
おくりびとでも、11.5万円~ともっとも抑えた価格を提示しています。
この「費用が抑えられる」は、単純に、「葬儀会社に支払う額が小さくなる」だけではありません。
葬式には、葬儀会社に支払う料金のほかに、宗教者に対するお礼や飲食費用もかかってきます。しかし火葬式(直葬)の場合は、基本的に宗教者は呼びませんし、会食も行わないことが多いといえます。このため、これらにかかる費用も発生しないケースが多いのです。
・時間がかからず、体力がない人でも取り組める
火葬式(直葬)は、極限まで「しなければならないこと」を省いた葬儀です。
そのため時間がかかりません。火葬にかかる時間は、火葬場や故人様の体格によっても異なりますが、45分~1時間半程度です。この「火葬時間」と「収骨」が終わってしまえばそれで終わりであるため、非常に所要時間を短くすることができます。
そのため、「体力がない」「体が不自由なので、家や施設以外のところで過ごすのは辛い」という人でも、参列することが容易です。
・決めることが少なくて済み、精神的な負担が軽い
葬式を行うときには、決めるべきことがたくさんあります。葬儀の規模や返礼品、料理の種類や喪主の挨拶、そのほかにも無数の「決めるべきこと」があります。
しかし火葬式(直葬)の場合は、もっともシンプルな選択肢であるため、このような「決めるべきこと」も少なくて済みます。
悩まなければならないことも最小限に抑えられるため、精神的な負担も軽いといえます。
一方、火葬式(直葬)のデメリットとしては、
・お別れができない人が出てくる可能性がある
・親族からの理解が得られないこともある
・菩提寺などがある場合は、納骨を断られることもある
があります。
これも1つずつみていきましょう。
・お別れができない人が出てくる可能性がある
火葬式(直葬)は、基本的には家族葬のかたちをとります。また、呼ぶ人の数も非常に少なくなる傾向にあります。「同居家族だけ」「配偶者と、子どものみ」といったケースも珍しくありません。
このため、「最後のお別れをしたかったけれど、呼ばれなかった」という人が出てくることもあります。この場合葬儀後に個別に弔問を受ける必要が出てくることもあるうえ、後々まで「呼ばれなかったこと」が原因で関係がこじれることまであります。
・親族からの理解が得られないこともある
上の話とも少しからみますが、親族からの理解を得られにくい形態であることも火葬式(直葬)のデメリットです。
「最後なのだから、大きな葬儀にしてあげたい」「小さな葬儀でこそこそと送り出すなんてかわいそう」という気持ちを抱く人が出てくる可能性もあります。
このため、きちんと話し合うことが重要です。
・菩提寺などがある場合は、納骨を断られることもある
「葬式」は、もっとも深く宗教が絡む分野であると言っても過言ではありません。そのような葬式において「家」が属する菩提寺に連絡を取らずに無宗教で火葬式(直葬)を挙げてしまうと、菩提寺との関係がこじれてしまう可能性もあります。
宗教儀式を行わず納骨することは、宗教観を大切にする菩提寺(僧侶)によってはよく思われないことも多くあり、納骨の段階で断られてしまう可能性もあります。
菩提寺などを持っているご家庭の場合は、事前に話し合いが必要です。
火葬式(直葬)は、もっとも費用を抑えられる葬送形態です。
そのため、「葬儀費用を抑えること」を目的とするのであれば、この方法を選ぶことをお勧めします。
また、
・会食をやめてお弁当などにする。あるいはそれも出さない
・宗教者は呼ばない
などの工夫をすることで、さらに費用を抑えることができます。
もっとも小さな葬式のかたちである火葬式(直葬)は、費用を抑えたいと考える人や、体力面に自信がない人、精神的なダメージがひどい人にとって非常に選びやすい選択肢です。
人を送り出すときにもっとも大切なのは、故人様に向き合い、誠実に送り出すことです。火葬式(直葬)でも家族葬でも一般葬でも、お見送りをする側に真心があるのであれば、その葬式は、きっと悔いのないものとなるでしょう。もちろん、私たちも真摯にお手伝いをさせていただきます。