「危篤(きとく)状態」とは、病気や怪我などの状態が重く、命の危険が迫っている状態を指します。
危篤状態にあるかどうかは一般的には病院で専門の医師が判断するもので、患者の意識レベルや心拍数の低下、呼吸の停止などを見て回復が期待できない場合に医師が危篤を宣告することが多いです。
特に、死が迫っているという緊急性が高い状態、という印象を持つ方が多いのではないでしょうか。
危篤を宣告されたからといって、すぐに逝去するとは限りませんし、危篤を宣告されてから回復するケースもあります。
危篤とよく似た言葉で、「重篤(じゅうとく)」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。
重篤とは、「命の危険のある重大な症状」を意味する言葉で、総合的判断による抽象性が高い危篤に比べると、かなり具象性が高い表現といえます。
死の危険が目前に差し迫った緊急状態ではないものの、治療をしなければ命にかかわる重大な症状ではある、そんな場合に使われる言葉です。
なお、危篤と異なりあまり一般的には用いられない医学用語という側面があるため、特に医師が家族親族に宣告するといった性格は持ちません。
家族や親族が危篤になったら、人によっては頭が真っ白になってしまうかもしれませんが、まずは急ぎで対応するべきことがたくさんあります。
そのため、まずは気をしっかりもって、落ち着いて取るべき対応をスムーズに実行に移すようにしましょう。
家族が危篤状態のときにするべきことは、例えば以下のようなものがあります。
まず何よりも最優先にするべきことは、危篤になっている方の親族や知人に連絡をすることです。
危篤は死を看取る可能性も迫っている事態ですから、一人でも多くの近親者に連絡を回さなければなりません。
緊急事態なので連絡手段は電話がベストですが、電話で連絡がつかない場合は、メールやFAX、LINEのトークなどでも大丈夫です。
電話で伝えるべき内容は以下のようなことが挙げられます。
・自分の名前と連絡先
・危篤状態の人の名前と関係
・入院している病院の名前、住所、病室
まずは落ち着いて相手に伝えることを心掛けましょう。
電話での連絡が難しい場合は、メールやFAXを使っても問題ありません。
その場合は、以下のような流れで文章を作成します。
・危篤状態の人の名前と自分の関係
・危篤状態の人の状況、病状
・面会していただける場合の病室と住所(面会時間外に入る場合の注意事項)
・自分の連絡先
送り相手がいつ読むかわからないので、送った後に再度電話をすると良いでしょう。
危篤である旨を宣告されたら、大至急交通手段を手配して、少しでも早く危篤状態のある方のもとへ駆けつけましょう。
万が一のことも視野に入れ、以下のようなものを持っていくとよいでしょう。
・携帯電話と充電器
・お財布(現金があると安心です)
・友人や親戚の連絡先が分かるもの
・宿泊ができる用意(常備薬や着替え、コンタクトケースなど)
病院についたら、意識が混濁しているなどの状態によっては本人に声掛けを行います。
家族親族の声掛けにより症状が回復する、というまでは期待できないにしても、少しでも臨終までの時間が延びてくれる可能性があるからです。
あるいは、危篤状態にある方のもとへ駆けつけることで、生きている間に生前伝えたかったことや感謝の気持ちなどを本人に伝えることもできます。
基本的には家族で集まって、臨終のときまで立ち会うことになるでしょう。早く着けばその分だけ、覚悟を決めることもできます。
宗教者への連絡も重要です。
特に、危篤状態にある方がキリスト教徒である場合には、危篤状態にある方が存命のうちに、臨終前の特別な儀式を行います。
そのため、危篤時には早急に司祭や牧師さんに駆け付けてもらう必要があります。
危篤状態にある人がカトリックの場合は「病者の終油の秘跡」といって、危篤状態にある方の額と両手に油を塗り、聖体(パン)を与える儀式を行います。
プロテスタントの場合は、聖書の朗読を行い、パンとワインを与える「聖さん式」と呼ばれる儀式を実施します。
危篤の連絡は基本的に電話で行います。
危篤状態を知らせる人の連絡範囲は、基本的には家族・親族、そしてごくわずかの親しい友人知人の範囲にとどめましょう。
まずは同居家族、そして3親等内の普段から関わりの深い親族を優先して連絡を回します。そして、知っている範囲でかまいませんので、危篤状態にある方の親しい知人や友人といった親族以外の方にも連絡をしましょう。
家族親族以外で連絡を回すのは、家族や親族同然に親しくしていた一部の人だけで大丈夫です。危篤状態になる場合は病室や自宅など狭い場所が多いので、会社の関係者など大勢に連絡をして人が押し寄せると逆に迷惑になってしまいます。
危篤の知らせを受けると、どうしても混乱や戸惑いが先立ってしまい、危篤状態にある人のことで頭がいっぱいになってしまう方も多いでしょう。
しかし、冷静に考えなければならないのは、危篤から臨終までに用意しておくべき費用の問題です。
臨終後は、葬儀や諸々の手続きなどに際してたくさんのお金が必要になります。たとえば、病院で危篤状態になっている場合には入院費用の精算もしなければなりませんし、老人ホームの場合は入居費用も精算する必要があります。
そして、危篤状態にある方のもとへ駆けつけるための交通費や立ち会うメンバーの飲食代などの費用もそうですし、亡くなった後の葬儀社を手配するのにもお金がかかります。
僧侶など宗教者へのお布施や、葬儀を手伝ってくれるスタッフや友人知人への心づけ、精進落としなどの食事費用など、掛かる費用は目白押しです。
親の口座から入院費用を出す場合は、公的機関や金融機関に当人の死を伝える前に行わないと口座が凍結され引き出せなくなるので要注意です。
危篤状態の方がご逝去された後も、やるべきことはたくさんあります。
以下はお葬式までの流れについて触れていきます。
詳しくは下記の記事もご参考ください。
おくりびとのコラム
まず、医師に死亡診断書を書いてもらいます。
死亡届と一緒になっている書類で、発行に手数料がかかる場合が多いので、あらかじめ病院に確認しておくと良いでしょう。
死亡診断書を受け取った後、死亡届の必要事項を記入して役所に提出します。
併せて火葬の許可をもらう手続きも進めましょう。
申請が終わると、火葬許可証が交付されます。火葬をする際に必要になるため、大切に保管しておきましょう。
※弊社では上記の区役所、火葬・埋葬の許可申請手続きの代行サービスを行っております。
また、お亡くなり後速やかに葬儀社の手配をする必要があります。葬儀社への連絡以降は、葬儀社からの案内に沿って進められることになります。
事前にいくつかの葬儀社のプラン、価格、オプションなどを比較検討しておくと、スムーズに進行できます。
「おくりびとのお葬式」では、ご遺体のケアのプロが一貫して葬儀に携わります。
そのため、最後まできれいなお姿でお見送りいただけるのが特徴となっております。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
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できるだけ当日中に、親族に訃報の連絡をしましょう。
訃報連絡に関する記事もありますので、詳しくは下記の記事をご参考ください。
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以上、危篤の知らせを受けたらどうすればいいのか、その対応方法を中心に、危篤とはどのような状態かといった基本的なところから立ち返って解説しました。
危篤の知らせを受けたら、まず何より本人のもとへ駆けつけることと、親族知人への連絡を最優先に行いましょう。そのうえで、臨終後の費用面の精算や工面もしっかり考えておく必要があります。
危篤の知らせというのは急に訪れるものです。対応方法をあらかじめ知っておけば、いざという時が訪れても、多少は冷静に対応を進められるのではないでしょうか。
危篤や死というのは悲しいことではありますが、いつか必ず訪れるものです。いざという時のため普段からしっかり知識をつけておきましょう。
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